神様のお接待
ある日、大黒様の御使いである猫姫ニャンは、海で魚貝を獲っているときに、一匹の小さな白い猫に出会った。その猫は姫ニャンに興味を持ち、一緒に遊びたがった。姫ニャンは最初は迷惑そうにしたが、その猫の無邪気な様子に次第に心を開いていった。
「君はどこから来たの?名前は何というの?」姫ニャンが尋ねた。
「私はここから来たよ。名前はシロ。君は?」シロが答えた。
「私は大黒様の御使いだよ。名前は姫ニャン。大黒様のお接待をするために、毎日魚貝を集めているんだ」
「お接待?それは何?」シロが不思議そうに聞いた。
「お接待というのは、神様を篤く饗すことだよ。大黒様は日本の神々をおもてなしする神様なんだ。10月10日には神奈月という祭りがあって、八百万の神が集まるんだけど、そのときに食べ物や飲み物を用意するのが私たちの仕事なんだ」
「へえ、すごいね。でも、なんで神様をおもてなしなきゃいけないの?」シロが純真な目で訊いた。
「それはね、神様に感謝するためだよ。神様は私たちに色々な恵みや力や知恵を与えてくれるんだ。だから私たちは神様に喜んでもらうことで、その恩返しをするんだ」
「そうなんだ。でも、神様ってどんな姿なの?どこに住んでるの?」シロが興味津々で聞いた。
「神様は色々な姿をしているよ。人間の姿もあれば、動物の姿もあるし、自然現象や物事そのものも神様だったりするんだ。神様はどこにでも住んでるよ。山や川や海や森や町や家や心の中にもね」
「ふうん、じゃあ私も神様に会えるかな?」シロが期待した。
「もちろん会えるよ。でもね、神様は普通の目では見えないんだ。神様に会うには、心を清めて敬う気持ちが必要なんだ」
「心を清めて敬う気持ち?どうやって?」シロが不思議そうに聞いた。
「それはね、まず自分自身を大切にすることだよ。自分の体や心や生き方を大切にすることで、自分自身が神様から授かった贈り物だと感じることができるんだ。そして他人や動物や自然や物事も大切にすることだよ。それらもすべて神様から授かった贈り物だからね。そうすると、神様の存在や働きを感じることができるようになるんだ」
「なるほど。じゃあ私も自分を大切にして、他のものも大切にして、神様に感謝するようにするね」シロが笑顔で言った。
「そうだね。それが一番いいよ。それにね、神様は喜びや楽しみや笑顔も好むんだ。だから私たちは神様のお接待をしながら、楽しく過ごすことも大事なんだ」
「そうなんだ。じゃあ私も姫ニャンと一緒に遊んで、楽しく過ごそう」シロが姫ニャンに甘えた。
「うん、いいよ。でもね、遊ぶのはいいけど、仕事も忘れないでね。大黒様のお接待は大切な仕事だからね」姫ニャンがシロに教えた。
「わかったよ。じゃあ私も姫ニャンの手伝いをするよ。魚貝を集めるのは得意だからね」シロが元気に言った。
「ありがとう。それじゃあ一緒に頑張ろうね」姫ニャンがシロに笑った。
そうして二匹は仲良く海で魚貝を獲りながら、神様のお接待をすることにした。