大黒様の宝物「願いが叶う神秘の宝石」


ある日、貧しい老夫婦が山に木を切りに行きました。山で木を切っていると、突然大きな音が聞こえてきました。驚いて音の方に向かってみると、そこには大きな穴が開いていました。穴の中からは金色の光が差し込んでいました。

「これは何だろう?」

老夫婦は好奇心に負けて穴の中に入ってみました。すると、そこはまるで別世界のような場所でした。美しい花や果物がたくさん生えていて、鳥や動物が楽しそうに遊んでいました。そして、その中央には大きな宝庫がありました。宝庫の中には金や銀や宝石が山のように積まれていました。

「これはすごい!こんなところがあったなんて!」

老夫婦は目を輝かせました。しかし、すぐに気が付きました。

「でも、これは誰かのものだろう。勝手に持って帰ったら盗人だ。」

老夫婦は正直な人でした。そこで、宝庫の前に立っていた大黒様の像に向かって言いました。

「大黒様、この宝物はどなたのものですか?私たちは貧しい人間ですが、盗みはしません。どうかお許しください。」

すると、不思議なことに、大黒様の像が動き出して話し始めました。

「よく来たな、老夫婦よ。私はこの宝庫の主である大黒様だ。この宝物は私のものだが、君たちに分けてやろう。」

老夫婦は驚きましたが、喜びました。

「ありがとうございます、大黒様!でも、どうして私たちに分けてくださるんですか?」

大黒様は笑って言いました。

「私はこの山の神様だが、人間から忘れられて久しい。君たちは私の存在を気づいてくれた最初の人間だ。それに、君たちは正直で謙虚だ。そんな人間を見ると嬉しくなるんだよ。だから、私の宝物を少しでも持って帰ってくれ。それが私のお接待だ。」

老夫婦は感動しました。

「大黒様、ありがとうございます!でも、私たちはあまり多くは持ちません。せめて一つずつだけ頂戴します。」

老夫婦は宝庫から一つずつ宝物を選びました。老夫は金貨を一枚、老婆は真珠のネックレスを一つ持ちました。

「これで十分です。大黒様、本当にありがとうございます!」

老夫婦は大黒様に礼をして穴から出ました。すると、穴は閉じてしまいました。

「さあ、帰りましょう。これで少しは楽に暮らせますね。」

老夫婦は手を取り合って笑顔で家に帰りました。その後、老夫婦は金貨と真珠を売って、貧しさから解放されました。そして、大黒様に感謝して毎日お祈りをしました。

大黒様は老夫婦の幸せを見て、微笑みました。

「よかったな、老夫婦よ。君たちは私の宝物を大切に使ってくれた。私も君たちの宝物だ。これからも仲良く暮らしてくれ。」


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